株芝居を見よう!!
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第1編 アフター



……………………

ほほ。いかがでしたかな?はじめてのお芝居は。

ばばぁ 若っか!!

ほほ。そこかい。

うん……いや冗談だけどさ。
え?そっちのカブ?
突っ込んだらいいの?あたしはだまされたの?

いやいや、ちゃんと“株”の噺を作ったつもりなんじゃが……
そういう印象を与えてしまったということは、わしの力は及ばなかったようじゃな。
無念じゃが、死のう。あした死のう。

へぇ!そうなの……?
ごめん………

ほほ。冗談じゃがの。
しかし“株の噺だ”というのは本心じゃ。
どうじゃろう、粗筋ぐらいは大体わかってもらえたじゃろうか?

あ、うん。それはまぁ……
話自体は易しかったしね。

ぜひ感想をお聞かせ願えませんかな?

かぶがおーきくなったりしておもしろかったです(棒

まさに小学生並みの感想じゃな……

んんん〜そうだな〜強いて言えば……ちょっとムカついたかな。

ほほう。それはどのあたりですかな?

ハヤミだよ!エラそうに言いたいことばっか言ってさ!
アタったらドヤ顔、ハズレたら知らんぷりなんだもん。
だったら最初から黙ってろよ!!

ほほ。しかし彼も人間じゃ。
あれぐらいの横着は許してもらえんじゃろうか?

ダメです!
だいたいさ、あたしも前に似たような目に遭ったんだよね!

ほう。それはどのような?

株の練習を始めたばっかのときにね
著名評論家とかゆーヤツのセミナー行ったの。お金払って。

ほほう。

そこでね
“この株は絶対上がるから買え!買わなきゃ損だぞー!!”
みたいなこと言うからさ、そりゃ買うじゃん。

ほほほう。して、どうなった!?

ブン投げですよ!
次の日から暴落し出して、半年経っても戻ってくる気配すらないんだもん!!
ブン投げ!!

ほほほほーう。それはお気の毒でしたな。
けっこうヤラレましたか?

ヤラレ過ぎて死ぬかと思ったんだから!
あーバーチャでよかった。

ほほ。さて…………
ちなみに、じゃが……それは誰の責任だと思うかね?

へぇ?

それだけ大きな損失を出してしまったのは、果たして誰の責任じゃろうか?

そりゃあ“評論家先生(笑)”のせいでしょ!
アイツラが余計なこと言わなきゃそんな売買しないんだもん!!

ほほ、失礼。
ややこしいかもしれんが、“所為(せい)”ではないんじゃ。
今しておるのは、“責任”の話じゃよ。

へぇ?どう違うの?

“所為(せい)”というのは、その売買をすることになった原因や理由といったとこかの。
今回の場合、それは確かに先生(笑)じゃろう。
お譲さんは、先生(笑)に促されるまま株を買い、大損ぶっこいたわけじゃからな。

へぇへぇ。

一方“責任”を取るというのは、その売買によって起こり得る、あらゆる結果を受け入れるということじゃ。
今回の場合、その大損を甘んじて被らねばならん者、それは誰じゃろうか?

それは……あ…たし……?

final answer

(え?古くない?)
ふぁいなるあ

正解!!

(え?早くない?)

どんな理由があっても、誰のせいでも、そして、儲かっても損しても、売買の結果は投機家自身が受け入れねばならんのじゃな。

ん〜まぁ確かに。
“アイツのせいだー!”って叫んだって、損したおカネは戻ってこないよね。

自身の選択の結果、起こり得るあらゆる結果を許容し、売買に臨む。
それが投機における、“自己責任”という言葉の意味じゃ

なるほど。“絶対に儲かる”って言葉を狂信して、損する可能性を度外視しちゃったあたしも悪いってことか

”善いか悪いか”というよりも、”損か得か”じゃな。
そーゆー売買が結果的に損なら、やはり改めた方がいいのかもしれん。

…………うん。

ほ?……どこか腑に落ちんかね?

……うん。
だってさ……

ほほ?

やっぱりおかしいよ!
確かに投機は自己責任だと思うよ。
それはあたし自身の経験からも、今の話からもよくわかった。

ほうほう。

でもさ、だからって、そーゆーさ、投機家をたぶらかすような人たちを放っとくの?
許していいの!?

ふむ。なんならそれだけではないぞ。
いわゆる“見せ玉”まがいの注文は相変わらずはびこっておるし、最近じゃメチャクチャな発注をするアルゴリズムも増えてきたな。

知ってる!
すっごいおっきな注文を出したり消したりするよね!!
目がチカチカするっつの!!

そういった連中に煽られて、ついつい売買してしまったとしても、それでもやはり、自己責任なんじゃよ。

うぇぇー!?
そんなのゼッタイおかしいよ!!
だってほとんど法律違反なんでしょ!?

そうじゃ。
そうじゃが、現状、“取り締まりきれていない”以上、わしらが割を食わざるを得んし、泣き寝入りせざるを得ん。
それが現実なんじゃ

へぇ……おかしぃ……
だっておかしぃでしょ……

おかしい。わしもおかしいと思うね。
では、おかしいとすれば、わしら投機家はどう立ち回るべきじゃろうか?

潰す!
そうやって弱い者イジメをするヤツラを、片っ端からタタキ潰すしかない!!

わかる。気持ちはよくわかるよ。
じゃがここでもう一度思い出して欲しいんじゃ。
覚えているじゃろうか?おまいさんが、どうして株をやろうとしたかということを。

へぇ?それは…
カネ儲けがしたいから……

そう、それじゃ。カネ儲けがしたい。
くどいようじゃがの、株をやる理由に、それ以外のことはあり得ない。

…………うん。

わしらはあくまでカネ儲けのために株をやる。
間違っても、相場の不正を暴いたり、不条理を正したりするためではない。

それは……そうだけど……

ならばわしらがすべきことは、そういった不正や不条理に屈することなく、それでも儲けられる戦略や手法を、自分の責任において考え抜くこと。
わしはそう思っとるが……どうかな?

確かに……そうかも……しれん。
……でもやっぱりちょっとくやしいな。

ふむ…………

本音はね、なんとかアイツラに一矢報いたいと思ってるよ。
でもそれは、あたしのカネ儲けとはぜんぜん関係ないことだもんね。

ふむ。
ただまぁ……そうじゃな……
さっきはああ言ったがの……

へぇ?

法に訴えるという以外にも、不条理に抗う手は、きっとある。

へぇ?どうやって?

それはな、わしら投機家それぞれがしっかりとリテラシーを持ち、自己責任に徹するということじゃ。

へぇ?りてらしぃ?(の説明はメンドくなるからカンペを見てね☆)

ふむ。例えばお譲さんは、もう他人の言葉に安易に流されることはないじゃろう。
それは、お譲さんが経験から学び、リテラシーを得たからじゃ。

へぇへぇ。

そうなれば、以前のように悪い先生方(笑)がお譲さんをたぶらかすことは、きっともう、できない。

うん。あたし、もう簡単に売買したりしない。
ちゃんと自分で考えられるよ。

ほほ。そうしてリテラシーを持つ投機家がひとりずつでも多くなれば、不正や不条理も、次第に通用しなくなってく。減っていくじゃろう。

へぇへぇへぇ。

すなわち……リテラシーは、抑止力になる。
この分だと、お譲さんはいつかまた、私欲と善意の狭間に迷うかもしれん。
そのときは、この言葉を思い出して欲しいんじゃ。

リテラシーは……抑止力になる……

まぁ、これさえもあくまでわし個人の意見じゃがの。

へぇへぇ。
ちょっとややこしいけど、なんとなくはわかったよ。

ほほ。そうかい。

でも、それでもやっぱり自分の頭で考えてみる。
じじぃの話もいっぱい聞くし、これからいろんな経験もすると思うけど、そーゆーのを全部合わせて、最後は自分で考えてみるね。
きっとそれが大事なんだって思ったから。

ほほ。これは素敵なご感想をいただけた。
この株芝居屋、本望というものです。

えへへ。

それでは名残惜しいが、大引けとしましょう。
またの寄付きをお待ちしております。

デュクシ デュクシ(拍手)

おります……が……
すまんけどな、お譲さん……

へぇ?

お……とせ……

へぇ?なに?聞こえない!

落とせ!
シリアス尺が長すぎた!もうわしにはどうすることもできん!!
頼む!緩く落としてくれ!!

……………………

もちろん聞く耳は持ちませんでした。
あたしは、あくまで株の、カネ儲けの話をするためにお手伝いしているのです。
間違っても、雑談のオチをつけるためじゃない。

それにしても、不正や不条理の話をしているときのじじぃは、珍しく、少し憤ったような表情でした。
リテラシーは、抑止力になる。
これはあたしの勝手な想像ですが、もし、そのリテラシーを広めるために株芝居を続けているのだとしたら、このじいぃ、本当は……

それはそれとして、“シリアス尺が長すぎた”というのは、あたしも同感です。
じじぃの力不足もありますが、やはり趣旨に反していますし、猛省すべきでしょう。
こんどからはきをつけよーとおもいました。