株芝居を見よう!!
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第3編 アフター



あー......どーしよ......?
もう損切りかなぁ。
......うん、損切りしとこ (ビシッ

ほほ。どーですかな?
株の調子は?

うーん、今ちょうどヤラレたとこ。
なんっ...で......かなぁ......?
やっぱなかなか勝ち続けられないわ。

ほほほ。
まぁ焦らずな、ゆっくりいきましょうや。

うん。......やっぱ手法がまだまだ甘いのかなぁ。
もっとどんどん改良していかなきゃダメか。
なんかいいアイデアないかな。

ほうほう。
ちゃんとイロイロ考えてやっとるんじゃな。
スゴイじゃないかぃ。

うん。この前言ってた、損小利大ってヤツ?
どーやったら上手くできるか、考えてはいるんだけど......。 ..

ほほ。

あ、じゃあせっかくだからじじぃさ、
こん前みたいに今の売買見てみてよ。
ちゃんと儲かりそうかさ ?

ほほほ。それはなかなかの難題じゃな。
じゃがせっかくじゃ。善処しましょう。
ほんじゃま、今のはどこで買ったんじゃ。

うん、えっとね......
約定明細によると……

ほうほう。ではその根拠はなんだったんじゃろうか?
察するに、ブレイクアウトかなんかっぽいが。

うん......いや、えっとね......
押し目買い......。
あ...れ?

ほ?
いや......あー、すまんなお嬢さん。
どれが押し目なんじゃ?

......だよね?
いや、でもね、ホントに押し目を拾うつもりで待ってて......なのに、
えーっ!!なんでこんな高いとこで買っちゃってんの!?あたし!!

ほほほ。さて、なんででしょうな。
まぁこれはあくまでわしの推測ですが......

へぇ?

ってとこかの。

......え、なにそれ?
あたしのマネ......?

そうじゃよ。
そっくりじゃろ?

煽ってるようにしか見えないよ。

そうか?ほんじゃまた練習しとくわぃ。

練習したの!?

そんなことよりどうじゃ?
こんなカンジで合っとらんか?

あー、ごめん。
聞いてなかった。

ほ?ほほ。
ほんじゃ、どれ、もっかい......

うそうそ!もういいよ!!
ホントそんなカンジだった! 大体あってるよ!!

ほほ。そうかぃ。

あー、でもなんでだろ!?
やってるときは、ちゃんと考えながらやってたと思うんだけど......

ほほほ。まぁなんじゃ。
実際に自分のカネが懸かった勝負になるとな、気付かんうちに目先の感情に振り回されて、理性的な行動ができなくなるもんなんじゃ。

へぇ!?そーゆーもんなの!?

そーゆーもんじゃ。まぁここらへんがバーチャでは経験できんとこかの。

そっか。気付かないうちに焦っちゃってたんだ ......って、あれ、でもちょっと待って!?

ほ?

そーやってイチイチ感情に振り回されてたら、損小利大なんてできっこないよね!?

そーゆーことじゃ。 たとえ有効な手法を考え出せたとしても、実際の相場で、その考えの通りに行動できなければ意味がないからの。

うんうん。 結局テキトーにやってんのと変わんないもんね。

じゃから、手法をきちんと機能させるためには、感情制限をする必要があるんじゃな。

へぇ?
感情制限......?

カネが懸かっとっても感情的にならんよーに、自分をコントロールできなアカンわけじゃ。
ちゃんと考えた通りに売買できるよーにな。

へぇ。
ほんじゃあさ、感情を制限できないうちは、手法をアレコレいじったってあんまり意味ないんだね。

そうとも言えるかもな。
上手くイカンのが、手法を守らなかったせいなのか、はたまた手法そのもののせいなのか、判断がつかんわけじゃからの。

そっかそっか。
なるほどね。そしたらちょっと光明が見えてきたかな。

ほ?

あたしがイマイチ上手くいってないのも、感情を制限できてないせいなのかも。
ちゃんと手法の通りにやれば、勝てるかもしれないよね?

ほほ。まあ断言はできんが、そうかもしれんな。
無論、あくまでそれは感情を制限できれば、の話じゃが......

へぇ?いやいやもう大丈夫だよ。
さっきまでは感情的になりやすいって知らなかったからさ、気付かずにおんなじ間違い繰り返してきちゃったけど、今はもう自覚があるからね。
ちゃんと意識して臨めば大丈夫っしょ!?

ほほ。そうかい。 ほんじゃまたぼちぼち頑張んなされ。

よーし! やっとなんかホントに勝てる気がしてきたわ!!



――――― 1分後 ―――――



んー……うんうん。
……ん?
……あー……うんうん。

ほほ。そんなに根詰めんでも、相場は逃げやせんよ。
見せ玉は逃げるけどな!!(ドヤァ

お、じじぃ。いいとこに来たね

…………

ようやくあたし的大チャンスが到来してるんだよね。
神トレードを披露できそうだよっ☆

……そうかい。

え……なんでちょっと凹んでんの?
いいからほら、コレ見てよ、コレ!

どれどれ。

ほほ。
......ほ?それ前回も聞いたの。

おんなじ例の方がわかりやすいでしょ?
それに、今回はひと味違うんだから。

ほ?ほうほう。

まず、あたしの読みでは、こっから始まる上昇はけっこう強い。
直近の高値を抜いて、もうひと上げまであると思うんだよね。
だから、首尾よくいけば15円は儲かるよね。

ほほう。ほうほう。

ただ、同時にあたしは、”ここで下げ止まる”とも思ってる。
だから、仮にここで止まらずにもっと下げてきちゃったら、潔く損切りしなきゃいけない。
でもそのとき損するのは、5円ぐらいで済むわけじゃん?

ほほほう。ほほう。

ほうほう。いや、だいぶ理にかなってるっぽいぞ。
話を聞く限りじゃと、こりゃ確かに損小利大っぽいな。

でしょぉー?
ほんじゃ、あとは仕掛けるだけだねっ☆
おらおら!がんばっていきましゅぉぉぉおい!! ビシッ(買い約定)

……………………

ほ?……おおぉ。
下げ止まらんかったな……

……うん。
……そだね。

ほ?
いやいや、損切りするんじゃなかったんか?

あー……うん。
いや、でもまださ、移動平均線をさ、割ってないじゃん?

……まぁ、そうじゃな。

それってさ、まだ上昇トレンドが終わってないってことでしょ?
だから……もちょっと待ってみよっか………な。

ほ。そうかぃ。
まぁ、おまいさんがそう思うんならええんじゃが……。

……うん。
それであってるよ。だってまだまだ強いんだから。
うんうん。あってるあってる。

……………

……あー。
割り込んでしまったのぅ。
移動平均線も……。

……うん。
……そだね。

……損切りせんでだいじょぶか?

……やだ。

ほ?

……切りたくない。

……ぁいや、しかしおまいさんが頼りにしとった移動平均線は、すでにしっかり割り込んでしまった。
もう持っとく理由はないように思うんじゃが……

へぇ!?
いや戻る戻る!
戻るよ!!

ほう……
戻るんか?

そう、戻る!
だいたいさ、もともと強かったのにさ、こんだけ売り込まれるとかおかしんだよ!!

……ふむ。
まぁ、そうなのかのぅ……。

そうだよ!さすがにこのままダダ下げとかないない!
こんな安いとこで投げるのがイチバン損だよ!!
一発ぐらいガツンと戻ってくるからさ、そしたら今度こそ損切りするから!!

ほ。そうかぃ。
まぁ、おまいさんがそう思うなら…………

ほぅらね!言った通りじゃん!?
これ以上売り込まれるなんてありえないんだから!!
んふ。ふふふ......

ほほ。まぁ不幸中の幸いといったところか。
どれ、ほんじゃあ今度こそ損切りを…………

へぇ!?なにいってんの!?
こんだけ戻ったんだから、またガンガン上がってくるに決まってんじゃん!!

ほ?
いやしかし、さっきじゃな……

てゆーか散々ヤラレてんのに、今更こんぐらいの値幅がなんだっての!?
もう全部戻すまで許してやんねーわ!!
ホールドホールド!ホールド一択!!

ほ。そうかぃ。
まぁ、おまいさんがそう思うなら…………

…………チッ。

……今度は
……どうしようかの?

……………………あーもうメンドい
ビシッ (損切り約定

ほ?おお、切ったんか。
まぁ今回は残念じゃったが、また落ち着いてやっていけば別に挽回できない額じゃ

……ビシッ (買い約定

ほ?
おいおい、お嬢さん、なんじゃ今の音は?

へぇ!?
こんぐらいのヤラレはさ、ロット上げまくってサクッと抜いたらソッコー取り返せるっしょ!?

いやしかしじゃな、そう意味もなくホイホイ買ってしまっては……

だからそーゆー細かいこと考えんのはもうやめたの!!
ちょこっと上げるだけ勝ちなんだからね。

…………



――――― 1分後 ―――――



あー……もう最悪。 めちゃくちゃヤラレた...。

ん……まぁ……シンドいわな。
ぶっこくのは……。

もうホントやだ……
勝てる気がしない。全っっっ然っ。

ん……まぁ、なんじゃ。
今はゆっくり休んで、また少しずつ頑張ってみんか?

へぇ……?
てゆーかさ、稼げるもんなの?そもそもさ。

ほ?

「株でン億稼ぎました」とかさ、「株だけで生活してます」とかさ
そんなヤツほんとにいんの?
証券会社の回しもんがテキトーなこと言って、カモを相場に引き込もうとしてるだけなんじゃないの?

まぁ、もしかしたら中にはそーゆーヤカラもいるかも知れんが……。
じゃがほれ、わしが「株を生業にしてきた」というのは、これは嘘偽りじゃない。

じゃあ、そのじじぃに教わってるあたしが、どーして全然勝てないわけ?

んん...不甲斐なくてすまんが、やはり最後は自分で考えんといかんという、このカンジをわかって欲しいんじゃが...

あー、アレか?
やっぱタダで手に入る情報って時点でお察しなんだ。
そしたらさ、あーゆーのはどーかな?
けっこーイイ値段するけど、「こうすればゼッタイ勝てるよー」みたいなヤツ。
ネットとかであんじゃん?

ぁいや、待て待て。
前にも言うたじゃろ?
そーゆーのまで含めて、結局は自己責任なんじゃ。

自己責任......

ほ?

自己責任!自己責任!!自己責任!!!
そーやって、都合のいいときだけすぐその言葉を持ち出すよな!
資本主義のブタどもはよ!!

(あ...これはアカンヤツや。)

やむを得ん、お嬢さん、コイツを飲め。

へぇ?
ナニコレ?

スグオチツーク。
乱れたメンタルをひとくちで落ち着かせるという、フィクションにだけ許された秘薬じゃ。

へぇ......
でもお高いんでしょう...?
知ってるよ。かつての紙芝居屋ってのは芝居で釣ったガキどもに駄菓子を売りつけるってゆービジネスモデルで

タダじゃ。
今のお前さんみたいに、ぶっこいて狼狽したお客さんが来ることもあるからな。
そーゆーときに飲まして差し上げるんじゃ。
ええからはよ飲め。噺が進まんじゃろうが。

へぇ...
ほんじゃ遠慮なく。
もっとも、そんな都合のいい飲みもんがあるとは思えな

うわあ落ち着いた!!
(でもリアルだと立ち直るのにけっこー時間かかるから頑張ってね☆)

ベタついでに忠告ご苦労さん。
それにしてもおまえさん、心にそーとー深い闇を抱えとるんじゃな。

なぜ私はあんなムダな時間を......

ほ?
おお......まぁ誰にでもあることじゃ。
あんまり気にせんほうがええぞぃ。

ああ...いや、まぁ落ち着きはしたが。
損したカネは返ってこないのだよな...

お......おお。
それはまあ......な。

ああ......しかしなぜだろう?
こんなにぶっこくわけなかったはずなんだが。

あぁ......
それはじゃな......

ああ......いや、わかっている。
ちゃんと手法に従わなかったからだろう。

ん......まぁ、そうじゃな......

手法の通りにやったとしても、敗けは敗けだったが、十分許容できる損失で済むハズだった。
これだけ目も当てられないほどにヤラレてしまったのは、やはり手法を破り、滅茶苦茶な取引をしてしまったからに他ならない......。

お......おお、全部わかっとるんじゃな。

......ああ、そう。わかっている。
わかっているのにできなかった。 問題は、そこなのだ。

ほ......ほう。
と、言いますと......?

今なら......平静を取り戻した今なら、自分が良くないことをしたのだと、ハッキリわかる。
しかし、張ってるときは、自分の行動に少しの疑いも持てなかった。ちゃんと考えながらやっている気でいたのだ。

ほう。
そう......じゃったか。

二重人格にでもなった気分だよ。場中と今とで、こんなにも頭の中が変わってしまうなんて。

......ん。
いや、ちゅーかな、お嬢さん。

だがだからこそ、今どれほど反省しても、対策を練っても、考えを巡らせても、いざ張ろうというその瞬間、全て忘れて、また同じように狼狽してしまうのだろうな。
一度思い知っているだけに、そのザマが容易にイメージできるよ。

あのな、お嬢さん。
ちょっと落ち着きすぎじゃ。
小学生には効き目が強かったか。

そしてこれでハッキリした。
私には、投機の才能がないのだ。
結局私は、自分の感情を制限することができなかった。
そのことは、きっと投機家として致命的な

ぁいや待て待て。
お嬢さん、いったん落ち着け。
ぁいや、落ち着くのをやめろ。
ぁいや、なんというか、元に戻るんじゃ。

はい。戻ったよ。

(え、早くね?)

で、なんの話だっけ?

あー......おお。
あのな、初めっから感情を制限できる人なんてなかなかおらんもんじゃ。

へぇ?そーなの?

ふむ。おそらく努力でなんとかできるようになった人の方が多いんじゃないかの?

へぇ!?努力で......って、え、でもさ。
意識してても、気付いたら熱くなっちゃうわけじゃん?
それを抑え込むための努力ったって、具体的にどーすりゃいいのよ?

そうじゃな。「感情を制限する」なんつったら難しく聞こえるかもしれんが、よーするにじゃな。
「投機で熱くなると、ついついやってしまう癖」みたいなもんがあるわけじゃ。それをいっこずつ直していくカンジかの。

癖......って、例えばどんな?

例えば、そうじゃな。
負けを認めようとしなくなる。

うっ......

変な言い訳をこじつけて、間違いをムリヤリ正当化しようとする。

あっイタイ!

根拠のない楽観論を持ち出す。
メンドくさくなって考えるのをやめる。

アイタタタタ!

損したあと、すぐにムリヤリ取り返そうとする。
仕掛けが雑になる。
失敗を他人のせいにする。
安易な手法になびきやすくなるっと。

イタイイタイイタイイタイ!
って、全部さっきのあたしじゃん!!

つまりはそーゆーことじゃ。
熱くなると、さっきのおまいさんみたいになりやすいわけじゃな。

な、なるほど。
心身をもって思い知ったわ。

もちろんこれには個人差がある。
今のが全て当てはまるとは限らんし、それ以外の厄介な癖を持っとる人もおるじゃろう。
そこはまぁ、自己分析して欲しいとこじゃが、おまいさんの場合は......(チラッ

パーフェクトってわけだねっ☆
って、やかましいわっ!!

......

(えっ?振っといて?)

ほ?なんの話じゃったかの?

その悪い癖をいっこずつ直してくんでしょ?

ほほ。そうじゃったな。

でもあたしの場合、こんなにあるから大変だ。
どっから手ェつけたもんかね......

そうじゃな。最初に直しときたいのは、「負けを認めようとしなくなる」、つまり「損切りを躊躇うようになる」っつー癖かの。

へぇへぇ。

人間、批判に対しては防衛的になるもんじゃ。
たとえそれが正しい指摘だったとしても、ついカッとなって間違いを認めたがらないっつーかの。
そーゆーこと、おまえさんにもあるじゃろ?

あるある。
なんとか言い訳ひねり出して、反論してやろうとか思っちゃうんだよね。
......って、その話いまカンケーあるの?

損切りとは、言わば自分の読みを否定すること。
それが妥当だとわかっていても、いざその場面に出くわすと、なかなか手が動いてくれない。

あー、なるほど。そゆことか。
実際、「やっぱ損切りしなくて済む言い訳はないか」とか考え出しちゃって、どこまでも引っ張っちゃうことあるね。

ほほ。
せっかく降り場を決めといたのに、それを無視してしまったもんじゃから、次はもうどこで降りていいかわからなくなってしまう。
じゃがそうこうしてるうちに......っとな。

あー、確かにめちゃくちゃヤラレるのは大体そのパターンだわ。
この癖は放っといたらヤバイよね。

ほほ。 さて、ではこれをどう直したらええじゃろうか?

えーっと......
っていや、よーするに、ちゃんと自分で決めた通りに損切りすりゃイイだけか。

そういうことじゃな。

まぁ口で言うほど簡単じゃないんだろうけど......。
でも、「なにをすればいいか」とか、「ちゃんとできてるかどうか」みたいなことは、確かにハッキリするね。
少なくとも、「感情を制限しろぉ!」とか言われるよりは、だいぶわかりやすいよ。

ほほ。似たようなカンジで、根拠もないのにやたらと手を出したくなったら。

......ちゃんとしたとこまでしっかり待つように意識する?

ヤラレを手っ取り早く取り返そうとして、むやみにロットを上げだしたら。

いつも通りのやり方に戻すよう心掛ける。

安易な甘言になびきそうになったら。

自己責任を思い出せっと。

まぁそんなカンジじゃな。

へぇ。あー、でもなんだろーね、こう、改めてみるとさ。
こんなん、できて当たり前のことばっかじゃん?
それが、ちょっと感情的になっただけでできなくなっちゃうってのは、こりゃどーゆーことなんだろうね。

さあて、どーゆーことじゃろうな。科学的なことはさっぱりわからんが。
もっとも、わしらにとって大事なのは、「どうやらそういう傾向にあるらしい」、そして「それを意識して直さない限り、どうやら投機では不利らしい」という事実そのものの方じゃろうな。

へぇ。なんかまるで、「人間は生まれつき投機に向いてない」みたいじゃね?

ほほ。案外そうなのかもしれんな。

いやー、でもこれはホントに苦労しそうだわ。
できるようになるまで、どんぐらいかかるんだろ。

ほほほ。確かに楽じゃないかもな。
「熱くなって無駄撃ち連発」とかなら、わしなんかでもいまだにやらかすからの。

へぇ!?その歳で!?

情けないことに、負けが込んだりするとどうしてもな。
まぁ、致命傷につながるような狼狽は、さすがにせんようになっとるが。

そ、そこまではどんくらいかかったの......?

そうじゃな......1年くらいじゃったかの?

い!?1年!?

ほほ。懐かしいな。学生んときじゃ。
毎日相場に張り付いては、しょっちゅう同じ間違いを繰り返してな。
わかっとるのに直せない。
それを誰に助けてももらえんという、まぁなかなかの地獄じゃったぞい。ほほほ。

いや、笑ってるけど......
でも、致命傷避けるだけでそんなかかるもんなの!?

まぁわしは要領が悪い方じゃからな。
なにをやるにも時間がかかってしまうんじゃ。

へぇ......。
いや、でも小学生にとっての1年てのはさ、これはもう永遠なんだよ。

ほほ。もちろんこれにも個人差はある。
初めっからできる人もいれば、わしみたいなのもおる。
あるいはもっとかかる人も、どうかすると、それこそ永遠にできない人もおるかもな。

へぇ......?
ちょ、せっかく頑張ろうと思ってたのに、凹ますのやめてくれる?

ほほ。まぁさっきおまえさんが言っとったように、投機に才能というものがあるとすれば、そのひとつに、感情制限の巧さを挙げることができるじゃろう。

へぇへぇ。

じゃから、おまえさんに才能があれば、あるいは、すぐできるようになるかもしらんぞ。

へぇ。そーですか。
まぁ、どんだけかかるにしても、やらなしゃーないんでしょうからね。
気長に頑張るわ。

ほほ。まぁ疲れん程度にな。

......

......

......あっ!

ほ? なんじゃ?
どうした?

いや、そろそろ手仕舞いっぽい流れだけどさ
今日も終始マジメなカンジになっちゃったなって......
なんかすまんな。

ほほほ、いやいやとんでもない。
今回はだいぶ楽しませてもらったぞい。

へぇ?
なんかしたっけ?あたし?

おまえさんが慌てふためいとる姿をな、ハタから見させてもらったからの。
他人の不幸はなんとやらっつってな。
いやぁ今日はもう腹一杯じゃ。ありがとうよ。

......は?

あーいや、しかしよくよく考えてみりゃ、この路線は存外テッパンかもしらんな。
どうじゃろう、お嬢さん?
これから毎日、大損しようぜ。

おい、じじぃ

ほ?......おぉ...ほほ、なーんつってな。ほほ。
冗談。もちろん冗談じゃよ。
ちょっと小学生にはわかりづらかったかの?ほほ。
じゃ、じゃがどうじゃ?ほれ。
ユルくオチそうじゃろ?ほほ。

......

お嬢さん
感情の
コントロールだ

......

そんな風に諭そうとしてもムダだってことは、じじぃがイチバンよく知ってるでしょ?
わかってるのに止められない。それが感情の恐ろしさですからね。

それにしても、人間の行動って意外と感情に左右されてるんですね。
これまであんまり考えたことなかったけど、株だと大損しちゃうこともあるから、イヤでも思い知らされます。

感情制限なんて、きっとすぐにはできないんだろうけど、またダラダラ頑張ってみますか。

......てか、あれ? いつまで寝てんだろ。 ちゃんと急所はハズしといたのにな。